
FLコストとは、飲食店の「食材費(Food)」と「人件費(Labor)」を合計したコストのことです。売上高に占める割合を「FL比率」と呼び、飲食店の収益性を測る基本的な指標として使われます。FL比率は「(食材費+人件費)÷売上高×100」で計算します。
FLコストの「F」と「L」には何が含まれる?
FとLの範囲は企業によって異なります。比較する前に、自社の定義をそろえておくことが大切です。
- F(Food)=食材費:食材や飲料の仕入原価です。一般的には「期首棚卸+当期仕入−期末棚卸」で計算します。
- L(Labor)=人件費:社員の給与、アルバイト・パートの給与、賞与、法定福利費(社会保険料の会社負担分)、通勤手当、福利厚生費などです。
本社スタッフの人件費をLに含めるかどうかも、企業によって扱いが分かれます。店舗別・ブランド別に比べるなら、まず集計ルールを統一してください。
FL比率はどう計算する?(試算例)
月商1,000万円の店舗を例に計算します。数値は説明用の仮のものです。
- 売上高:1,000万円
- 食材費(F):300万円(食材費率30%)
- 人件費(L):300万円(人件費率30%)
- FLコスト:600万円
- FL比率:600万円÷1,000万円×100=60%
ここに家賃(Rent)を加えた「FLR比率」を見る企業もあります。出店判断や不採算店の見極めでよく使われます。
FL比率の目安はどれくらい?
業界では「FL比率は売上の55〜60%程度に収める」という目安がよく言われます。ただし、適正な水準は業態によって異なります。
- 食材にこだわる焼肉店・専門店は、Fが高くなりやすい傾向があります。
- 調理工程が多い業態や、ホール人員が多いレストランは、Lが高くなりやすい傾向があります。
- セントラルキッチンを持つ飲食チェーンは、店舗のLが下がる一方で、工場側のコストをどう配分するかで数値が変わります。
他社の数値と単純に比べるより、自社の業態・店舗ごとの推移を追うほうが、改善のヒントを見つけやすくなります。
なぜ今、人件費(L)の管理が難しいのか?
最低賃金の引き上げや人手不足により、時給は上がりやすい状況にあります。ただ、Lを押し上げる要因は時給だけではありません。見落とされやすいのが、次のような「見えにくい人件費」です。
- 欠員を埋める残業・割増賃金:採用が決まっても初出勤が遅れれば、その間のシフトの穴は既存スタッフの残業で埋めることになります。
- 店長の事務作業時間:入社書類の回収や不備の確認でバックヤードにこもる時間も、人件費に含まれています。
- 本社の手入力工程:紙の書類を回収してシステムに入力する作業は、採用が増える繁忙期ほど大きくなります。
- 早期離職による再採用:求人費と教育コストが繰り返し発生します。
FL比率を改善するには何から手をつける?
F(食材費)の見直し
- レシピの標準化と、盛り付け量のばらつきを抑える
- 棚卸の頻度を上げて、ロスや廃棄を把握する
- メニューごとの原価率と出数をもとに、構成を見直す
L(人件費)の見直し
- 人時売上(売上÷総労働時間)を時間帯別に確認し、アイドルタイムの過剰配置を見直す
- 繁忙期(年末・GW・夏休み)に向けた採用を前倒しで計画する
- 採用決定から初出勤までの日数を測り、欠員期間の残業を把握する
- 入社手続き・雇用契約など、店長と本社の事務工程を棚卸しする
注意点として、時給を下げたりシフトを削ったりするだけでは、サービス品質の低下や離職につながるおそれがあります。「人を減らす」より「ムダな工数を減らす」という視点で見直すことが、Lを抑える近道です。
FL改善チェックリスト(人件費編)
- 人件費の集計範囲(法定福利費・本社人員)が店舗間で統一されている
- 店舗別・時間帯別の人時売上を毎月確認している
- 採用決定から初出勤までの平均日数を把握している
- 欠員期間の残業代を、採用遅れのコストとして集計している
- 入社書類の回収・入力にかかる本社と店長の作業時間を把握している
- 繁忙期前の採用計画が、少なくとも1〜2か月前に立っている
入社手続きの効率化はFLコストにどう関係する?
アルバイト・パートの比率が高い飲食チェーンでは、採用数が多い分、入社手続きの工数がLに与える影響も大きくなります。改善できるのは主に次の2点です。
- 初出勤までの距離を縮める:欠員期間の残業や機会損失を減らします。
- 紙の回収と手入力を減らす:店長と本社の事務時間を削減します。
TECH CREW株式会社が提供する飲食店向けの入社手続きクラウド「人事CREW」は、店長が渡すQRコードから、スタッフ本人のスマホで雇用契約・個人情報・マイナンバー・本人確認書類の提出まで完結する仕組みです。初出勤までの距離は、飲食業の導入企業平均で約14日から当日〜2日に短縮しています(効果は運用・環境により異なります)。料金は入社手続きで¥300〜/アカウント・月(税抜・1アカウントあたりの基準価格、最小構成からの開始価格)です。
一方で、採用数が少なく、入社手続きにかかる工数がもともと小さい店舗では、効果は限られます。その場合は、シフト配置や食材ロスの見直しを優先するほうが適しています。
FLコストに関するよくある質問
FLコストとFL比率の違いは?
FLコストは食材費と人件費の合計金額です。FL比率は、その金額が売上高に占める割合を指します。
FLR比率とは?
FLコストに家賃(Rent)を加えて売上高で割った比率です。立地コストまで含めて、店舗の収益構造を見るときに使います。
人件費に社会保険料は含める?
一般的には、会社負担分の法定福利費も含めます。ただし企業によって定義が異なるため、比較する際は集計範囲をそろえてください。
FL比率は何%以下を目指すべき?
55〜60%程度がよく言われる目安です。ただし、業態や価格帯によって適正値は変わります。自社の過去推移と業態特性を踏まえて目標を設定してください。
まとめ
- FLコストは食材費(F)と人件費(L)の合計で、飲食店の収益性を測る基本指標です。
- FL比率は「(F+L)÷売上高×100」で計算します。
- Lには、欠員期間の残業や事務作業といった「見えにくい人件費」も含まれています。
- 人を減らすのではなく、ムダな工数を減らす視点で改善しましょう。
アルバイト・パートの入社手続きや、初出勤までの日数が人件費を押し上げていると感じる場合は、自社の運用でどこまで効率化できるか、お気軽にご相談ください。
最終更新: 2026年10月22日


