
令和8年(2026年)の年末調整は、例年とは少し違います。基礎控除の引き上げと特定親族特別控除の新設が同時に施行されることで、飲食業・小売業のパート・アルバイトスタッフを多く抱える店舗では、扶養判定の確認作業が例年より複雑になります。
そのうえ、「紙で回収する扶養控除等申告書」は従来から課題でした。シフト制のパートスタッフは勤務日がバラバラで、全員を一度に集めることができません。書類を郵送する、次の出勤日に持参してもらう、記入漏れを一件ずつ電話で確認する。こうした手間が毎年繰り返されています。
本記事では、令和8年改正の要点を整理したうえで、年末調整の書類収集を電子化する具体的な手順を解説します。
令和8年の年末調整で何が変わるか
令和8年分の年末調整(2026年12月実施)では、主に次の2点が変わります。
基礎控除が48万円から58万円に引き上げ
給与所得者全員に適用される基礎控除額が48万円から58万円に増額されます。これにより、これまで所得税が発生していた一部のパート・アルバイトが非課税になる可能性があります。年収103万円の壁は年収123万円の壁に事実上移行するため、扶養に入っているスタッフの就労時間調整にも影響が出る可能性があります。
特定親族特別控除の新設
19歳以上23歳未満の子(大学生世代)を扶養している社員については、子の年収が123万円を超えても150万円以下であれば、親の所得から最大63万円の控除を受けられる特定親族特別控除が新設されます。
飲食・小売チェーンでは大学生アルバイトを多く採用しているため、この申告書を配布・回収・確認するフローをどう設計するかが担当者の作業量を大きく左右します。
シフト制現場で年末調整書類の回収が難しい理由
オフィス勤務の企業では「全員に配布して翌日回収」という流れで対応できますが、シフト制の飲食店・小売店ではそうはいきません。
- 全員が同じ日に出勤しない:週3日勤務のスタッフに今週中に提出してと依頼しても、次の出勤が来週末のケースがある
- 複数店舗で働くスタッフがいる:エリアをまたいで働くスタッフは、どの店舗に提出するかが混乱しやすい
- 記入ミスのフォロー連絡が大変:漏れが多い項目(配偶者の所得・扶養家族の個人番号)を電話やLINEで追いかけると、担当者一人で数十件対応する羽目になる
- 紙書類の保管・廃棄が手間:年末調整書類には個人番号(マイナンバー)が含まれるため、保管・廃棄ルールを守る必要がある
年末調整の電子化で何が変わるか
年末調整書類の収集を電子化すると、上記の課題がまとめて解消されます。
スマホから申告書を提出できる
スタッフは出勤日に紙を受け取る必要がなく、スマホから扶養控除等申告書・基礎控除申告書などを入力・送信できます。送信タイミングは自宅でも通勤中でも構いません。
入力チェックで記入漏れをその場で防げる
電子フォームは必須項目が未入力のまま送信できないよう設計されています。紙であれば後から発覚する個人番号の欄が空白、氏名と住所の不一致などが、提出前に自動で検知されます。
管理側は一覧で進捗を把握できる
担当者は誰が提出済みで誰がまだかをシステム上で確認できます。未提出者へのリマインドも手動の電話ではなく、一括通知で行えます。
個人番号データはシステム内で安全に保管
電子化されたマイナンバーはシステム内のセキュリティ基準に従って保管・廃棄されます。紙のコピーを金庫で管理する手間がなくなります。
電子化の具体的な手順
年末調整書類の電子収集は次のような流れで進みます。
- スタッフ名簿を確認:年末調整対象者(年内に雇用した全スタッフ)が正しく登録されているかチェック
- 申告書フォームをスタッフへ配布:QRコードまたはシステム通知でスタッフに入力フォームを送付。出勤日に関係なく配布できる
- スタッフがスマホで入力・送信:扶養控除等申告書・基礎控除申告書(令和8年は特定親族特別控除欄も含む)をスマホから入力
- 担当者が入力内容を確認・承認:システム上で一覧確認。特定親族特別控除の申告がある場合は収入証明の確認も忘れずに
- 給与計算システムへデータ連携:年末調整の計算・源泉徴収票発行を給与計算と連携して処理
9月が準備の分岐点
年末調整の書類収集は10月から11月に行う企業が多いですが、電子化システムの導入には準備期間が必要です。スタッフへの周知・テスト運用を含めると、9月から動き始めるのが現実的な目安です。
令和8年分の申告書には新しい控除欄が加わるため、既存の電子申告フォームが対応済みかどうかを確認しておく必要があります。人事CREWは令和8年改正に対応した年末調整フォームを提供予定です。詳しくは機能一覧ページからご確認ください。
飲食業・小売業向けの年末調整電子化
人事CREWは多店舗のシフト制現場を前提に設計されており、入社手続きの電子化と同じ基盤で年末調整書類の収集が行えます。スタッフのスマホから申告書を受け取り、担当者が一画面で全店舗の進捗を管理できます。
飲食業での活用詳細は飲食業向けページを、小売・ドラッグストアチェーンでの活用は小売・店舗向けページをご参照ください。
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最終更新: 2026年7月21日

