
年末調整と確定申告は、どちらも1年間の所得税を精算するための手続きですが、「誰が・誰の分を・いつ行うか」が異なります。年末調整は勤務先(会社)が給与所得者に代わって毎年12月ごろに行う手続き、確定申告は納税者本人が原則として翌年2〜3月に税務署へ申告する手続きです。多くの給与所得者は年末調整だけで納税が完結しますが、副業所得や医療費控除などがある場合は、年末調整に加えて確定申告が必要になります。
年末調整と確定申告は何が違うのか?
両者の役割は近いものの、手続きの主体・対象・時期が分かれています。まず全体像を押さえると、実務での判断がしやすくなります。
- 年末調整:手続きを行うのは勤務先。対象は「扶養控除等申告書」を提出した給与所得者。時期は年末(多くは12月の給与時)。給与から源泉徴収された税額と、本来納めるべき税額との差額を精算します。
- 確定申告:手続きを行うのは納税者本人。対象は自営業者のほか、年末調整だけでは精算しきれない給与所得者など。時期は原則として翌年2月16日〜3月15日。税務署へ申告し、納付または還付を受けます。
ざっくり言えば、年末調整は「会社がまとめて行う精算」、確定申告は「本人が行う申告」です。制度の詳細や期限は改正で変わることがあるため、最新の内容は国税庁の情報でご確認ください。
この記事が役立つのはどんな人か?
この記事は、税の手続きを整理したい個人の方に加えて、多店舗・多拠点でアルバイトやパート、契約社員、外国人スタッフを多く抱える企業の人事・労務担当者を想定しています。従業員の雇用形態が混在する現場では、「誰を年末調整の対象にするか」「本人に確定申告を案内すべきか」の線引きが煩雑になりがちだからです。
年末調整だけで完結する人と、確定申告が必要な人の違いは?
1か所から給与を受け取り、年末までその会社に在籍している一般的な給与所得者の多くは、年末調整で所得税の精算が完了します。一方で、次のようなケースでは、年末調整を受けていても本人による確定申告が別途必要になることがあります。
- 給与以外の副業などの所得が一定額を超える場合
- 2か所以上から給与を受け取っている場合
- 医療費控除・寄附金控除(ふるさと納税でワンストップ特例を使わない場合)など、年末調整で扱えない控除を受けたい場合
- 住宅ローン控除を初めて受ける年など、確定申告が前提となる控除を利用する場合
また、年の途中で退職して年末時点で在籍していない人や、年末調整の対象書類を提出していない人は、勤務先で年末調整が行われないため、本人が確定申告で精算することになります。適用の可否は個々の状況や制度改正で変わるため、判断に迷う場合は税務署や税理士に確認してください。
雇用形態が混在する現場で見落としやすい点は?
アルバイト・パートが多い店舗では、「掛け持ち勤務のスタッフ」「短期間で入退社するスタッフ」「日本語での書類記入が難しい外国人スタッフ」が同時に存在します。この場合、対象者の切り分けと書類回収に時間がかかりやすく、年末の繁忙期に本社へ問い合わせが集中しがちです。
ポイントは、年末調整の対象判定と書類の不備チェックを提出の段階でどれだけ整理できるかです。回収後にまとめて確認する運用だと、記入漏れや扶養情報の誤りによる差し戻しが増え、担当者の負担につながります。
年末調整の書類回収・確認の負担を減らすには?
紙の申告書を配布・回収する運用は、多店舗になるほど回収状況の把握や不備の確認に手間がかかります。ここで検討されるのが年末調整の電子化です。従業員がスマホから入力し、提出時に必要項目をチェックできる仕組みにすると、入力不備による差し戻しを削減し、本社の確認作業を軽くしやすくなります。
「シフトで働く現場」向けの入社手続きクラウド「人事CREW」(提供:TECH CREW株式会社、カオナビグループ)では、年末調整を電子化する追加モジュール「年整CREW」を利用できます。スマホで完結する設計で、OCRや多言語対応により、操作に慣れていない担当者や外国人スタッフも手続きを進めやすくしています。導入事例では年末調整業務を最大93%削減したケースがありますが、削減率は対象範囲や測定条件により異なります。
ただし、電子化はあくまで年末調整(会社側の手続き)を効率化するものであり、従業員本人が行う確定申告そのものを代行するものではありません。副業や医療費控除などで確定申告が必要な従業員には、別途本人での申告が必要になる点を案内するとよいでしょう。
FAQ:年末調整と確定申告のよくある質問
年末調整をすれば確定申告は不要ですか?
多くの給与所得者は年末調整で完結しますが、副業所得や医療費控除など、年末調整で扱えない事情がある場合は確定申告が必要です。すべての人が不要になるわけではありません。
アルバイト・パートも年末調整の対象ですか?
「扶養控除等申告書」を提出し、年末時点で在籍している給与所得者であれば、雇用形態にかかわらず対象になり得ます。掛け持ち勤務など個別事情で扱いが変わるため、条件を確認してください。
年の途中で退職した人はどうなりますか?
年末時点で在籍していない場合、その会社では年末調整が行われないことが一般的です。その場合、本人が確定申告で精算します。
確定申告の時期はいつですか?
原則として、対象となる年の翌年2月16日〜3月15日です。期限は変更される場合があるため、最新の情報は国税庁でご確認ください。
年末調整を電子化すると確定申告も不要になりますか?
いいえ。電子化は会社側の年末調整業務を効率化するものであり、本人が行う確定申告の要否は個々の状況によって決まります。
まとめ
年末調整は「勤務先が給与所得者に代わって年末に行う精算」、確定申告は「納税者本人が翌年に税務署へ行う申告」です。多くの給与所得者は年末調整で完結しますが、副業・各種控除・年の途中の退職などがある場合は確定申告が必要になります。多店舗でアルバイトや外国人スタッフを抱える企業では、対象判定と書類回収の負担が大きくなりやすい点に注意が必要です。
年末調整の書類回収や不備チェックにかかる工数を減らしたい場合は、年末調整を電子化する「年整CREW」でどこまで効率化できるか、資料請求やお問い合わせでご相談いただけます。
最終更新: 2026年9月7日


