
合計所得金額とは、1年間(1月〜12月)のすべての所得を合計した金額です。「収入」から経費や給与所得控除を差し引いた後の「所得」で判断します。年末調整では、本人の基礎控除、配偶者控除・配偶者特別控除、扶養控除を受けられるかどうかの判定に使います。
給与収入だけの人の場合、合計所得金額は「年収から給与所得控除を引いた額」です。額面の年収とは一致しません。
「収入」と「所得」はどう違うのですか?
収入は、額面で受け取った金額です。所得は、収入から必要経費などを差し引いた金額です。
- 給与所得=給与の収入金額 − 給与所得控除額
- 事業所得・雑所得=収入金額 − 必要経費
- 公的年金等の雑所得=年金収入 − 公的年金等控除額
合計所得金額は、これらの所得を合計して求めます。原則として、分離課税で申告する所得(退職所得など)も含みます。
年末調整では、どこで合計所得金額を使うのですか?
従業員が提出する申告書の中で、次の判定に使います。
- 基礎控除:本人の合計所得金額に応じて控除額が変わります。
- 配偶者控除・配偶者特別控除:本人と配偶者、両方の合計所得金額で判定します。
- 扶養控除:扶養親族の合計所得金額が一定額以下かどうかで判定します。
- ひとり親控除・寡婦控除・勤労学生控除:本人の合計所得金額に要件があります。
年末調整は年内に行うため、12月までの所得を見積額で記入するのが一般的です。
令和7年分の判定基準はいくらですか?
令和7年度税制改正により、令和7年分から主な基準が次のように変わりました。
- 扶養親族・配偶者控除の対象となる配偶者:合計所得金額58万円以下(給与収入のみなら年収123万円以下)
- 配偶者控除を受ける本人:合計所得金額1,000万円以下
- 19歳以上23歳未満の親族には「特定親族特別控除」が新設され、合計所得金額58万円超でも一定額までは控除の対象になります
基準額は税制改正によって年ごとに変わる場合があります。令和8年分の年末調整では、国税庁が公表する最新の資料で金額を確認してください。
給与収入だけの場合はどう計算しますか?
例として、令和7年分で給与収入が年120万円のパート従業員を考えます。
- 給与収入:120万円
- 給与所得控除:65万円(令和7年分の最低保障額)
- 合計所得金額:120万円 − 65万円 = 55万円
この場合は58万円以下のため、扶養親族の所得要件を満たします。ただし、他の所得がある場合は合算が必要です。
パート・アルバイトが多い職場で間違えやすい点は?
シフトで働く現場では、次のような記入ミスが起こりやすい傾向があります。
- 「年収」をそのまま所得欄に書く:給与所得控除を引く前の金額を記入してしまう。
- 掛け持ち先の給与を入れ忘れる:配偶者や扶養親族が複数の勤務先で働いている場合、すべての給与収入を合算する必要があります。
- 12月のシフト増を見込んでいない:繁忙期に勤務時間が増え、見積額と実績がずれる。
- 年の途中で入社・退職した家族の所得:前職の給与も含めて見積もる必要があります。
- 税法上の基準と社会保険の「年収の壁」を混同する:社会保険の扶養は収入で判定するなど、基準が別物です。
見積額と確定額が大きくずれて判定が変わると、年末調整のやり直しや本人の確定申告が必要になる場合があります。
担当者が回収前に確認しておきたいことは?
申告書の回収前に、次の項目を従業員へ案内しておくと、問い合わせや差し戻しを減らしやすくなります。
- 「収入」ではなく「所得」を記入する欄であることを明示したか
- 給与収入のみの場合の早見額(例:令和7年分は年収123万円以下=所得58万円以下)を案内したか
- 掛け持ち・副業・年金収入の合算が必要なことを伝えたか
- 見積額の根拠(12月の予定シフトなど)を確認するよう促したか
- その年の税制改正による基準額の変更を反映したか
多店舗で年末調整の書類回収が負担になっている場合は?
従業員が多く、店舗が分散している企業では、紙の申告書の配布・回収・記入不備の確認に時間がかかりがちです。主な原因は、判定に必要な所得の見積もりを従業員自身が行う点と、差し戻しが店舗を経由して往復する点にあります。
対策としては、記入ガイドの整備、提出前のチェック、電子化による回収の一元化などが考えられます。選ぶときは、雇用形態が混在する従業員への対応、多言語対応の有無、店長と本社の権限の分け方を基準に比べると判断しやすくなります。
TECH CREW株式会社が提供する人事CREWには、年末調整を電子化するモジュール「年整CREW」があります。スマホで完結する手続きと、提出時のバリデーションで入力不備による差し戻しを減らせるように設計されています。導入事例では、年末調整業務を最大93%削減したケースがあります(効果は対象業務・測定条件・運用・環境により異なります)。一方、従業員数が少なく紙でも回収に困っていない場合は、記入ガイドの整備から始める方法も有効です。
よくある質問
合計所得金額と総所得金額等は同じですか?
同じではありません。総所得金額等は、純損失などの繰越控除を適用した後の金額です。合計所得金額は、繰越控除を適用する前の金額です。
非課税の通勤手当は収入に含めますか?
非課税限度額内の通勤手当は、給与収入に含めません。限度額を超える部分は課税対象になります。
見積額が実際の所得と違ったらどうなりますか?
控除の判定が変わる場合は、年末調整のやり直しか、本人の確定申告で精算します。やり直しができる期限は勤務先の運用によって異なるため、担当者に確認してください。
遺族年金や失業給付は合計所得金額に含めますか?
遺族年金や雇用保険の失業給付などの非課税所得は含めません。
退職金は合計所得金額に含めますか?
原則として、退職所得の金額は合計所得金額に含めます。扶養控除などの判定に影響する場合があるため注意が必要です。
まとめ
- 合計所得金額は「収入」ではなく、控除や経費を差し引いた「所得」の合計です。
- 年末調整では、基礎控除、配偶者控除・配偶者特別控除、扶養控除などの判定に使います。
- 令和7年分では、扶養親族・配偶者控除の対象となる配偶者の基準は合計所得金額58万円以下です。基準額は年ごとに国税庁の最新情報で確認しましょう。
- パート・アルバイトの多い職場では、掛け持ち収入や12月のシフト増による見積もりのずれに注意が必要です。
多店舗での申告書回収や、記入不備の差し戻し対応に時間がかかっている場合は、年整CREWでどこまで手作業を減らせるかご相談ください。
最終更新: 2026年9月30日


