
出生時育児休業、育児休業にまつわる社保料免除について社労士が解説!
はじめに
少子高齢化のこの時代において、「いかに一人ひとりが、就労と育児・介護を両立させていくか」は、とても重要な課題です。育児・介護に関する休業や時短等の諸制度は年々拡大されていますが、2025年春にも育児介護休業法の改正が予定されており、さらに育児や介護と就労の両立を、国が手厚くサポートしていく予定です。
今回は、特に日々ご相談を多く受ける育児休業の中でも、さらに「社会保険料免除」に焦点を当てて解説します。育児休業というと、育児休業や出生時育児休業そのものの取得や、育児休業給付金等を気にされる方は多いですが、社会保険料の免除についても、労使に大きなメリットをもたらす重要な制度です。以下に、知っておきたい「出生時育児休業、育児休業等にまつわる社保料免除」のルールを解説します!
原則ルール
産前産後休業期間や育児休業期間についての健康保険・厚生年金保険の保険料は、被保険者の申し出を受けて事業主が年金事務所に届出を行うことにより、被保険者・事業主の両方の負担が免除されます。なお、この免除期間は、被保険者の将来の年金額を計算する際には、保険料を納めた期間として扱われ、休業したことによって年金額が減額になることはありません。
産前産後休業とは、産前42日(多胎妊娠の場合は98日)、産後56日のうち、妊娠または出産を理由として労務に従事しなかった期間をいいます。役員や従業員など肩書きの区別なく、すべての女性の被保険者が取得対象です。
保険料の負担が免除される期間は、産前産後休業開始月から終了日の翌日の属する月の前月(産前産後休業終了日が月の末日の場合は産前産後休業終了月)までです。
育児休業とは、育児・介護休業法に基づき、満3歳未満のお子さんを養育するための育児休業等(育児休業及び育児休業に準ずる休業)期間をいいます。(産前産後休業と違い、役員は育児休業の取得対象者とされていません。)
保険料の負担が免除される期間は、原則として、育児休業等開始月から終了日の翌日の属する月の前月までです(産前産後休業の保険料免除と同様の考え方です)。
ただ、令和4年10月1日以降に開始した育児休業等であれば、開始月と終了日の翌日の属する月が同一の場合(つまり、同月内に育休を開始して終了する場合)でも、「14日以上」育児休業等を取得した場合は月額保険料免除の対象となります。
また、賞与等にかかる保険料も、令和4年10月1日以降に開始する育児休業等については、「当該賞与月の末日を含んだ連続した1カ月を超える育児休業等」を取得した場合に限り免除されることになっています。
よくある質問1 育児休業等日数の数え方は?休日は含める?
育児休業等日数として、原則的に「開始日から終了予定日までの日数」をいいます。(もし、当該育児休業等が「出生時育児休業」である場合、「開始日から終了予定日までの日数から就業日数を除いた日数」をいいます。)
開始日から終了予定日までの間に、以下の日数が含まれていても、育児休業等日数の算定にあたり、差し引くことはしません。
・土日等の休日
・有給休暇など労務に服さない日
(つまり、育児休業等日数に、休日は含めます!)
よくある質問2 出生時育児休業中に就労を行った場合の「14日」の考え方は?
前提として、令和4年10月1日以降開始の育児休業等に関して、開始日の属する月については
- 「その月の末日が育児休業等期間中である場合」に加えて、
- 「その月中14日以上の育児休業等を取得した場合」
も、月額保険料(標準報酬月額に係る保険料)免除の対象となりました。
②の場合、原則の育児休業等と、出生時育児休業による休業等は、合算して育児休業等期間が確認されます。
上記14日の算定に関して、出生時育児休業期間中に、労使協定に基づき事前の労使合意のもと就労を行った場合は、原則としてその日数が除かれることになります。
ただ、「日単位ではなく、時間単位で就業する」という概念もあり、時間単位就業の場合にはその就業時間数を1日の所定労働時間で除した数(1未満の数は切り捨て)を「就業日数」として、控除することになります。通達上、具体的には以下のような計算例が紹介されています。
(例)就業日数が時間単位の場合
出産日 :R4.10.1
休業申請期間 :R4.10.1~R4.10.28 4週間(28 日)
就業日数 :40 時間(40÷7=5.7814・・・であることから、1未満の数を切り捨て、5 日)
所定労働時間 :7 時間
育児休業等日数: 28 日-5日=23日
この場合、23日 ≧ 14日であるため、10 月分の保険料は免除となります。
よくある質問3 社会保険料免除の基準に該当しない育児休業等について、育児休業等の取得届出を実施する必要はある?
保険料免除の基準に該当しない育児休業等について、育児休業等の取得届出を提出する必要はありません。ただ、同月内に取得した複数の育児休業等の日数を合算することにより免除基準に該当する可能性も考えられます。この場合は、社保料免除基準に該当した時点で育児休業等の取得届出を提出することになります。
よくある質問4 育児休業等取得にかかる保険料免除の届出に関して、事業主から保険者等への届出はいつ行う必要がある?
保険料免除の届出については、従前は原則的に「育児休業等期間中に」保険者等への届出を行う必要がありました。
ただ、令和4年10月1日の法改正以降、「短期間の育児休業等取得」が増え、届出遅延等も多く見込まれる形となります。そのため、令和4年10月1日以降に取得する育児休業等については、期間終了後であっても、「終了日から起算して1か月以内」であれば受付が可能になりました。(1か月超に提出されたものについては、理由書等の添付が必要になります。)
よくある質問5 保険料免除の手続きに関して、育児休業等の「終了日から起算して1か月以内」の届出で良いなら、開始時の届出は不要?
よくある質問4から、「従前は育児休業期間中に手続きが必要だったが、今般は、育児休業等の「終了日から起算して1か月以内」の届出でOKとされている」ことがわかりました。こちらを受けて、「育児休業等取得が終わって、日付が確定してから届出を出せば、変更手続きが不要でスムーズなのではないか?」とお考えになる事業主様もいらっしゃるかと考えます。
もし育児休業等取得終了後に1回のみ社保料免除の申請を出す、という形とすると「申請を出すまで、事業主、労働者分とも、本来免除される保険料を納付し続けることが必要」となってしまいます。労働者の休業中は賃金発生のないことが見込まれ、通常は保険料の天引きはできません。また本来育児休業等期間中の社保料は免除されることを考えると、労働者に保険料相当額を振り込ませることも決して適切ではないと考えます。
そのため、「事業主側で育児休業等期間中の労使の保険料をすべて立て替え納付し、事後に免除(還付)されることで問題無い」という場合は、事後に1回のみ手続き、ということも考えられ、こちらでも特に問題は生じません。ただ通常は、育児休業等の開始時、終了時に、当該時点での日付をもとにタイムリーに保険料免除の手続きを実施しておくことが一般的かとは考えます。
おわりに
労使にとって社会保険料の負担は決して小さくありません。育児休業等期間中の社会保険料免除の制度は、柔軟な育児休業の取得を促進し、それぞれの希望に応じて男女ともに仕事と育児等を両立させるうえで、とても優れた制度であると考えます。
ただ上記で確認してきた通り、ルール上かなり複雑な部分があることも否めず、詳細までポイントを押さえ正確に制度を把握することが大切です!ご不明点は、社会保険労務士等の専門家にお気軽にご相談ください。
【執筆者プロフィール】
![]() 寺島戦略社会保険労務士事務所
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最終更新: 2026年6月10日



